太陽光パネルが原因の屋根トラブルとは?メンテナンスの落とし穴
2025/12/17
太陽光パネルを設置したことで、「屋根はしばらく安心」と思われる方は少なくありません。しかし実際には、太陽光パネルが載っている屋根だからこそ起こるトラブルが存在します。しかもその多くは、普段見えない場所で静かに進行していくのです。
この記事では、太陽光パネルが原因で起こる屋根トラブルの代表例と、見落とされがちなメンテナンスの落とし穴、そして雨漏りを防ぐために知っておきたい対策について解説します。
太陽光パネル設置後に増えている屋根トラブルとは?
「設置したら安心」と思われがちな太陽光パネルの落とし穴
太陽光パネルは再生可能エネルギーとして非常に優れた設備であり、光熱費の削減や環境配慮の面でも大きなメリットがあります。そのため、「一度設置すれば屋根もしばらく安心」と考えてしまう方も少なくありません。
しかし実際には、太陽光パネルは屋根の上に長期間載り続ける設備です。屋根という建物の最上部に設置される以上、屋根構造や防水層への影響がゼロというわけではないのです。特に築年数が20年、30年と経過した住宅では、パネル設置をきっかけに屋根トラブルが表面化するケースが増えています。
軽量でも無視できない「継続的な荷重」の影響
太陽光パネル一枚一枚は確かに軽量ですが、実際には架台や固定金具、配線類などがセットで設置されます。その結果、屋根には常に一定の荷重がかかり続ける状態が生まれます。
この荷重自体がすぐに屋根を壊すわけではありませんが、長年にわたって同じ位置に力がかかり続けることで、屋根材のズレや浮き、防水層への負担が少しずつ蓄積していきます。特に、もともと防水シートや下地が劣化し始めていた屋根では、その進行を早めてしまうこともあるのです。
太陽光パネルの下は「劣化に気づけない死角」になる
太陽光パネル付き屋根の大きな特徴は、パネルの下が日常的に確認できない構造になるという点です。通常であれば、色あせやひび割れ、板金の浮きなどを目視で察知できますが、パネルの下ではそうしたサインが完全に隠れてしまいます。
そのため、防水層の劣化や固定金具まわりの不具合が起きていても、住んでいる方が異変に気づくことはほとんどありません。雨漏りとして室内に症状が現れたときには、すでに屋根裏や下地まで水が回っているケースも珍しくないのです。
症状が出たときには被害が進行していることも
太陽光パネル設置後の屋根トラブルは、初期段階では音や湿気といった「気づきにくい変化」から始まります。天井のシミやクロスの浮きなど、はっきりとした症状が出た段階では、内部で被害が広がっている可能性が高いといえるでしょう。
つまり、太陽光パネル付き屋根のトラブルは「突然起きる」のではなく、見えない場所で静かに進行していくという特徴があるのです。これこそが、設置後の屋根トラブルが深刻化しやすい最大の理由といえます。
太陽光パネルが原因で起こる代表的な屋根トラブル
固定金具まわりから始まる防水トラブル
太陽光パネル付き屋根で特に多いのが、固定金具まわりの防水劣化による雨漏りです。太陽光パネルは架台を用いて屋根に固定されますが、その際にはビスやボルトで屋根材に穴を開け、防水処理を施す必要があります。
設置直後はしっかりと防水されているように見えても、この防水処理の多くはシーリング材に頼っているのが実情です。シーリング材は紫外線や雨風、寒暖差の影響を強く受けるため、年数が経つにつれて硬化やひび割れが生じやすくなります。そうなると、金具のわずかな隙間から雨水が侵入し始めるのです。
防水シートの劣化が見えないまま進行する理由
屋根材の下に敷かれている防水シートは、雨水の侵入を防ぐ「最後の砦」ともいえる重要な部材です。しかし、太陽光パネルが設置されることで屋根表面が日陰になり、湿気がこもりやすくなる傾向があります。
この状態が続くと、防水シートが乾燥しにくくなり、通常よりも劣化の進行が早まるケースがあります。さらに、防水シートは外から確認することができないため、問題が起きていても住んでいる方が気づくことはほとんどありません。
雨水は別の場所から姿を現れることが多い
太陽光パネルが原因の雨漏りが厄介なのは、侵入口と症状が出る場所が一致しない点です。固定金具まわりから侵入した雨水は、屋根裏を伝って流れ、天井の端や壁際、サッシまわりなど、別の場所から室内に現れることがあります。
そのため、「屋根の真上に太陽光パネルがあるのに、なぜここが濡れるのか」と原因の特定が難しくなります。結果として、屋根以外の部分を疑ってしまい、太陽光パネルが関係しているとは思わず、対応が遅れてしまうケースも少なくありません。
気づいたときには被害が広がっていることも
こうした雨水の侵入が続くと、屋根裏の木材や断熱材が徐々に湿り、腐食やカビの原因になります。室内にシミやポタポタ音といった分かりやすい症状が出た段階では、すでに内部で被害が進行している可能性が高いといえるでしょう。
太陽光パネル付き屋根のトラブルは、見えない場所で静かに進むのが特徴です。そのため、「少し気になる」段階で点検を行うことが、被害を最小限に抑える大きなポイントになるのです。
見落とされがちなメンテナンスの落とし穴
太陽光パネル付き屋根のトラブルは、メンテナンス不足によって深刻化することが多く見られます。太陽光パネルの設置業者は電気設備の専門である場合が多く、屋根や防水の長期的な点検まで含まれていないケースも少なくありません。
その結果、設置後は屋根がノーチェック状態となり、必要な補修が後回しにされてしまいます。「パネルを外すのが大変そう」「費用が高くなりそう」といった理由で対応を先延ばしにすると、小さな劣化が大きな雨漏りにつながる恐れがあります。
また、コーキングの打ち直しなど表面だけの補修で済ませてしまうと、内部の防水層や下地の劣化が見逃され、再発リスクを高めてしまう点にも注意が必要です。
太陽光パネル付き屋根はどう点検・診断するべき?
太陽光パネルが載っている屋根の診断では、通常の屋根以上に慎重な確認が求められます。パネル、屋根材、防水層、下地がどのように影響し合っているかを理解していなければ、正確な原因特定はできません。
特に雨漏りの場合、目視だけで判断するのは難しく、実際の水の動きを確認できる散水調査などが有効です。原因を曖昧にしたまま修理を行うと、同じトラブルを繰り返すことになりかねません。
太陽光パネルが載っていてもできる修理・対策方法
太陽光パネルが設置されているからといって、屋根修理ができないわけではありません。大切なのは、現在の劣化状況と今後の住まい方に合わせて、無理のない修理方法を選ぶことなのです。
初期段階なら可能な部分補修という選択
劣化が比較的軽度で、雨水の侵入箇所がはっきりしている場合には、部分補修で対応できるケースがあります。具体的には、太陽光パネルの架台まわりのシーリング補修や、ビス穴付近の防水処理、板金部分の調整などが該当します。
この段階で適切な処置ができれば、大掛かりな工事を避けられる可能性もあります。ただし、あくまで初期症状に限った対応であり、内部まで水が回っている場合には根本解決にはなりません。応急的な補修で済ませ続けると、結果的に被害を広げてしまうこともあるのです。
防水性能を立て直す屋根カバー工法
既存屋根全体の防水性能が低下している場合には、屋根カバー工法が有効な選択肢となります。これは、既存の屋根を撤去せず、その上から新しい防水シートと軽量な金属屋根を被せる工法です。
防水層を新しく構築できるため、太陽光パネルまわりからの雨水侵入リスクを大幅に抑えることができます。工期が比較的短く、廃材も少ないため、生活への影響を最小限に抑えられる点も特徴といえるでしょう。
太陽光パネルが載っている場合でも、脱着を最小限に抑えた施工計画を立てられるケースもあり、費用面と性能面のバランスが取りやすい方法です。
長期的な安心を重視するなら屋根葺き替え
下地の腐食が進行している場合や、雨漏りを何度も繰り返している住宅では、屋根葺き替え工事が最も確実な方法となることがあります。屋根材と防水シートをすべて撤去し、下地から新しくやり直すため、見えない部分の不安も一掃できます。
初期費用は高くなりますが、今後も長く住み続ける予定がある場合には、将来的な補修や再工事のリスクを減らせるという意味で、結果的に安心感の高い選択になることも少なくありません。
太陽光パネルが載っている屋根だからこそ、「その場しのぎ」ではなく、これからの暮らしを見据えた修理方法を選ぶことが重要なのです。
まとめ
太陽光パネルは環境にも家計にもメリットのある設備ですが、屋根の上に設置されている以上、屋根への負担や雨漏りリスクがゼロになるわけではありません。特に築年数が経過した住宅では、パネル設置をきっかけに屋根の弱点が表面化するケースも少なくありません。
固定金具まわりの防水劣化や、防水シートの寿命低下は、見えない場所で静かに進行します。雨漏りとして室内に症状が出たときには、すでに内部で被害が広がっていることもあるのです。そのため、「まだ大丈夫だろう」と放置せず、早めに状態を確認することが住まいを守る第一歩になります。
太陽光パネルが載っていても、劣化の程度に応じて部分補修、屋根カバー工法、屋根葺き替えといった選択肢があります。大切なのは、目先の費用だけで判断するのではなく、今後どれくらい住み続けるのか、どこまで安心を求めるのかを踏まえて修理方法を選ぶことです。
奈良市で太陽光パネル付き屋根の雨漏りや不具合にお悩みの方は、屋根構造と防水の両方を理解した専門業者に相談することが欠かせません。雨もり屋 奈良店では、表面的な補修にとどまらず、原因を丁寧に見極めたうえで、住まいに合った修理方法をご提案しています。
「太陽光パネルがあるから仕方ない」と諦める前に、まずは一度、屋根の状態を確認してみてください。早めの対応が、住まいと安心を長く守ることにつながるでしょう。
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